So-net無料ブログ作成
検索選択
桜の待ち人 ブログトップ

一章   ―桜の待ち人―  [桜の待ち人]

夜桜の下綺麗な音色が聞こえてくる

 ――さくら さくら―― 

            ――弥生の空は 見渡すかぎり――

――霞か雲か 匂いぞ出ずる――





「綺麗な歌だね」

少女はふと歌を止め
木の上にいる黒影を大きな瞳でじっと見つめた


       『桜の待ち人』







「君(キミ)しゃーん、探したんだよぉこんなところにいたんだね...どうかしたの?」

「クルリリくん...ゴメンねボッとしてた。どうしてココにいるってわかったの?」

君がいたのは大きな桜の丘。近寄る者は少ない

「なんとなく”香”でね」

「香?」

すかさず自分の香を確認するが異様な匂いはしない

「君しゃんの香じゃなくて、ほら桜の...君ちゃん桜の花好きでしょう?」

                 ....好き....
「会える気がするの...」

「ん?」

「あ...なんでもないよ。そろそろ行こうか」

クルリリもそれ以上追求はしなかった
そのときは興味がなかったし良く聞き取れなかったからだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

クルリリ達の村では毎年春になると『闇夜桜』という祭りがある
なんでも昔。闇のような夜が続くと災いが起こるという慣わしで
祭りの日に桜の木の下に村娘を一晩置くというものだその村娘を祭り子といい
生贄になるわけではないのだが寒さのあまり凍死という悲しい末路を終えた者もいる



「さくら さくら
弥生(やよい)の空は 見渡すかぎり
霞(かすみ)か雲か 匂(にお)いぞ出(い)ずる
いざや いざや 見にゆかん」

「君しゃんその歌上手だねぇ」

「うん、詩も素敵だし何より思い出のある歌なの」

「そうなんだ。そういえば今年の祭り子って誰だか知ってる?」

君は一度祭り子を経験しているのでそう何度もくるはずがない

クルリリは男のこなので関係の無いことだ

「白羽の矢の刺さったお家の子だけど、今年はまだ聞いていないね」

すると外が急に騒がしくなった


     祭り子が決まったぞ

                                  すぐに用意をしなければ

まだ早すぎはしないか?

                            いや、大丈夫だろう

今年は五件ぐらい先にある家の子だ

夜の寒さを知らない子だ
周りの女が自分に化粧をしてくれるので気分良さそうに座っている

「今年の祭り子は大丈夫だって。去年は決まったとたん大泣きしてたんだよぉ」

そういうとクルリリはそんなに興味が無いのか家の中に引っ込んでしまった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

夜になり祭りが本格的になってきた

祭り子は白い衣装を着飾り
周りが桜への道を教えるように明かりを一つ一つ灯してゆく

そして行進か始まった

シャラン、シャランという鈴の音。祭り子の髪飾りの揺れる音
昼間の雰囲気の違いに祭り子も気づいたのか少し震えている

「可哀想。怖がっているのに、震えているのに止められないなんて」
仕方ないことだとわかってはいるが感情は言うことを聞かない

「!....クルリリくん、私気分悪くなっちゃったから先帰るね」

「あっ、うん。ぼくも帰るよ、見ていても仕方ないし...あれ、君ちゃん?」

もう君の姿は消えていた



寒い、寒い夜だった


どこからともなく歌が聞こえてくる

――――さくら さくら
野山も里も 見わたす限り
かすみか雲か 朝日ににおう
              さくら さくら 花ざかり―――――

君はその声の方向に走った

『二番の歌詞を知っているのは、あの人と私だけ
                           やっと会える、ずっとずっと』



          この時を待っていた


「櫻...?」

「俺のこと覚えててくれたんだ」

そっと君は櫻の元に駆け寄った

赤い髪に金色のような瞳
八本の腕がそっと君を包み込む








君が祭り子に選ばれたときも寒い夜だった
そのとき櫻に出会ったのだ

君はつい眠ってしまいそうで声が嗄れるまで歌っていた

「さくら さくら
弥生(やよい)の空は 見渡すかぎり
霞(かすみ)か雲か 匂(にお)いぞ出(い)ずる
いざや いざや 見にゆかん」

風が吹くたんびに高貴な香とともに花弁が舞いそして流れ落ちる

「綺麗な歌だね」

誰もいないはずの桜の木から声がした

つい歌をやめてしまい、その姿に魅入った

前に聞いたことのある、八本の腕を持ち
私たちを食い殺すという恐ろしい存在の話

けど、君の目の前にいるのは八本の腕は持つものの恐怖が感じられなかった

しばらく話しているうちに名前を知り
色々なことが聞き出せた

「どうしてこんな所にいたの?」

「それは俺の台詞なんだけど...さっきの歌が綺麗だったからついね」

知らぬうちに君の頬がポっと桜色に染まった


「さてと、そろそろ夜が明けるな....また会えるか?」

「え?....会えれば良いね」

「じゃあ、さっきの歌の続き教えてくれるか?会いたくなったら歌うから聞こえたら来いよ」

そして君は櫻に歌を教えた

君しか知らない二番目の歌詞を願いをこめて。

―。*―。*―。*―。*―。*―。*―。
あとがき

本当に暗くてゴメンナサイOrz
今回の小説はモデル君さんとクルリリさんの登場となりました
この後も続くのですが他のモデルさんも登場しますので。。。w


桜の待ち人 ブログトップ
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。